対戦相手皆無!ボードゲームレビュー
遊んだアナログゲーム・ドイツゲームについて主に書きます。
産業の時代
- 2017/11/23 (Thu)
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いまさらですが、マーティン・ワレスが名作「ブラス」をリメイクして世に送り出したゲーム「産業の時代」を遊ぶ機会に恵まれました。
ワレス御大は、この手のリメイク(ブラッシュアップ?)が多いですね。元のゲームが重厚長大で、細かいルールまみれ→ちょっとだけルールを簡略化して洗練した作品に。というパターン。
で、この「産業の時代」ですが、なぜか日本語版が発売されており、入手が非常に容易です。売れ残ってるのか、5年前に発売された日本語版であるにも関わらず、普通に買えます。
元々3~4時間かかる重量級ゲームとして名高い「ブラス」を、多少ライトにした、との触れ込みなのですが、両者の違いを見てみると・・・
・プレイする時代が「鉄道時代」のみになり、中間決算処理がなくなった
→これはプレイ時間短縮につながりそうですが、いくつかの理由により、あまりプレイ時間は短くなっていません。依然3時間級のゲームとなっています。詳細は後述
・「地域カード」が特定の街対象→特定のエリア全域対象 と強化された。
→プレイ感覚をライトにするつもりの変更なのでしょうか、相対的に地域カードがとても強くなった印象です。手札に地域カードが来るかどうか、が、かなりプレイに影響します。
・個人ボードがついた
→個人ボードは、ブラスでもぜひ欲しいところです。これはブラスに勝っている点ですね。
・建物タイルからの得点/借金のルール/国外販売ルールの単純化
→ここは賛否両論あると思います。処理は単純化されてるのですが、ゲームの底が浅くなってしまったような・・・。
・鉄も、石炭と同じように線路で接続されてないと運べなくなった
→「ブラス」では鉄の輸送に運河や線路は必要ありませんでしたが、産業の時代では必要です。もともとゲームバランス調整で、輸送路が必要ないルールだったと思われるので、産業の時代のほうが納得感が高く、シンプルなルールになっています。
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さて、様々な単純化が図られているにも関わらず、なぜゲーム時間が短くならないのか?
それは、「カード不要アクション」の存在が有るからです。
元の「ブラス」は、ウォーゲームのカードドリブン方式のように「何のアクションを行ってもカードを一枚捨て札にする」ゲームでした。
研究開発を行っても、パスをしても、線路を引いてもとにかく一枚捨てるのです。これによって、後に残しておきたいカードを捨てざるを得ない状況に頭を悩ませ・・・深いゲーム性を実現していたのですが
「産業の時代」では、線路を引いたり研究開発をしたり、というアクションではカードを使いません。にもかかわらず、ゲーム終了条件は「山札が尽き、更に誰かの手札が尽きたラウンドで終了」のため、ゲーム展開によってはプレイ時間がずるずると伸びるのです。
ある程度トッププレイヤーと二位の得点差がつき、トップがカードをどんどん引き出すとゲームが収束に向かうのですが、点差がついていないと長引きます。
この点はBGGのフォーラムでも議論されており、ヴァリアントとしてブラスのカード消費方式、つまり何のアクションでもカード一枚消費。手番は2アクションなので、手番開始時にカード二枚補充、
というルールを採用する方法が考案されています。ちょっと乱暴な気はしますが。
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総じて、「これやるんだったらブラスやればいいんじゃない?」という範疇にとどまってしまっており、非常に不遇な作品でした。「ブラス」の拡張マップを遊ぶ気持ちで購入するか、ワレスコレクターならどうぞ、という感じ。「ヴィア・ネビュラ」ぐらいの軽さに抑えてれば活躍の機会があったんだけどなぁ。
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