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対戦相手皆無!ボードゲームレビュー

遊んだアナログゲーム・ドイツゲームについて主に書きます。

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オートモービル

20世紀初頭、内燃機関の小型化とガソリン供給の安定によって、自動車は急速に普及しだした。特に1908年に発売されたフォード・T型は大量生産手法を確立させ、非常に低価格で販売された。

プレイヤーは自動車産業黎明期を追体験しつつ、他の人より多く車を売ることを目指す。




---オートモービル---

ルールを覚えるのに必要な時間:30分
1ゲームの時間:120-150分
評価:☆☆☆☆☆ (☆5で満点)



少々ポンコツなトリテや軽いカードゲーム・中量級のP.I.等も出すが、基本的には「借金重ゲ神」であるワレス。今回、クラシックカーのアートワークに惚れ込んで購入したところ、早速プレイ機会に恵まれた。

このゲーム、4ターンで終わるが、各ターンが9フェイズで構成されているためそこそこ時間はかかる。それでも公称180分のゴッズプレイグラウンド等と比べれば中量級!

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プレイヤーは自分の色の

車チップ
セールスマンチップ
工場タイルと部品工場タイル
借金回数(!)と手番順を表すプレイヤーマーカー

を受け取り、更に

プレイ人数によって異なる数の研究開発キューブ(白)
2000ドル分の紙幣

をごちゃっと持ってゲームスタート。以下、フェイズ順にルール記載

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1:需要タイルの獲得



各プレイヤーは、袋の中に入っている需要タイルを1-2枚ひいて、自分だけが見る。タイルには2-5の数字が書いてあり、これが市場の車需要を表す。車には3種類あり、「高級車」「中級車」「大衆車」と大別されるが、第一ターンは黎明期のため中級車の需要だけ。1枚だけ引く。

第二ターン以降は2枚ひいて、これが中級車と大衆車の需要を表す。第二ターンは数の大きいタイルが中級車の需要。第3ターン以降は数の大きいタイルが大衆車の需要となる。このへんはボードに描かれているので見ればわかる。



じゃあ高級車は売れないのかというとそんなことは無い。第3ターン以降は後のフェイズでタイルを引くことになるし、セールスマンを使うという方法もある。これは後述。

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2:人物の選択



自動車業界の偉人たち6人から、好きな人物を選ぶことになる。この人物の並び順が、そのまま後のフェイズで手番順になるので注意。

各人物は特殊能力があり、自分のプレイ方針に有利になるような人物を選ぶ必要がある。

・フォード:アクションフェイズで、自分の工場がある場所に追加で工場を建設したり、部品工場を建設したり出来る。コストは通常通り払う。また、研究開発キューブを1つもらえる。

・ケタリング:研究開発キューブを3個獲得。シンプル。

・スローン:後に説明する損失キューブを受け取ったあと、半分(端数切り上げ)をストックに戻せる。また、研究開発キューブを1つもらえる。

・ハワード:営業の神。自動車を2台、必ず定価で売ってくれる。

・デュラント:即座に、空いているスペースに工場を建設できる。コストは支払う。また、研究開発キューブを1つもらえる。

・クライスラー:損失キューブを受け取ったあと、現在のターン数と同じ数、ストックに戻せる。また、研究開発キューブを2つもらえる。

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3:アクションフェイズ(3回)

このゲームのメインとなるフェイズ。一人一アクションずつを順番に行い、これを3回繰り返す。(つまり、人物の特殊能力無しでは、ゲーム中に12アクションしかできない)



※ゲーム中、プレイヤーはいつでも借金が出来る。(ゲームを通して2回まで)自分の色のディスクを借金回数を表すスペースにおき、即座に$500を受け取る。

アクションは以下のとおり

a) 工場の建設



外周の車が描かれているマスに、自分の自動車工場1-2件を建設できる。人と同じ車の工場を持つことは出来ない。コストは一件につき、マスに描かれている金額。



建設時に、「研究開発キューブ」がお金とは別に必要になる。ボード上の車は時計回りに新しい車種になるのだが、建設されている最新の工場より先に1マス進もうとした場合、キューブが1個必要になる。

いっぺんに2マス先の車工場を建てる場合、1+2=3個
3マス先の場合 1+2+3 = 6個

これだけのキューブが必要になるので、正直3マス先以上は現実的じゃない。後の手番ほど最新の工場を建てやすいので、後手番有利。



また、$500を払ってすでに自分の車工場が建設されているマスに、「部品工場」を建てることもできる。これは車一台毎の生産コストを-20$する。

b) 車の生産



建設された工場を稼働させて、車を生産する。建っている工場の数と、車の種別によって生産可能数が違う。稼働させる工場は車種単位で選べる。

生産コストは 高級車 $100 中級車$70 大衆車$50 (一台ごと)部品工場がある車種はコストが -$20される。

ここで注意しなくてはいけないのが、「最低生産台数」が決まっている点。3件の工場を稼働させて1台の車をつくる、ということは出来ないのだ。

c) セールスマンの配置



後のフェイズで車を売ってくれるセールスマンを、高級車・中級車・大衆車のいずれかの販売スペースに配置する。人数は1アクション1-3人。

後のセールスマンフェイズで説明するが、中級車に配置したセールスマンは高級車及び大衆車を売ることもできるので、とりあえず中級車のとこに置いておくのがセオリー。

d) 工場の閉鎖



古い車種の工場は、後のフェイズで負債キューブをもたらすため、任意の車種の工場を全て閉鎖することが出来る。この時、一件につき「建設コスト-100$」のお金を得られる。また、すでに獲得している負債キューブを半分(端数切り上げ)ストックに戻せる。

e) 研究開発キューブ2個を獲得。

これ、忘れやすいアクション。

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4:ハワードによる販売



ハワードタイルを獲得したプレイヤーは、生産した車のうち二台を無条件で売れる。

高級車なら$200 中級車なら $150 大衆車なら $100 かならずこの金額で売ってきてくれる。

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5:セールスマンによる販売



ハワードは1人で2台売るが、セールスマンは1人一台売ってくれる。ハワードほどじゃなくてもなかなか優秀だが、中には売れない奴もいるのだ。

これがセールスマンフェイズの車需要をあらわす。書いてある数字はマスが使えるようになるターン数。3ターン目以降は全マス使えるようになるのだ。

ここでは手番順に自分のセールスマンを1人ずつ、マスに配置していく。需要マスに配置できたセールスマンは車を売ってくるが、はみ出したセールスマンがいたら1人につき負債キューブを一つ受け取るのだ。ここは先手番有利。

車を売ったセールスマンは、そのまま右の待機スペースに戻り、回収はしない。セールスマンが売ることの出来る車種は、基本的には待機スペースの車種。だが隣に移動することは出来る。

高級車スペースで待機していたら、次のターンで大衆車を売ることは出来ない。逆も然り。

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6:役員決議



このフェイスでは、「広告をうつ」「値引きを行う」「工場を閉鎖」 この3つのうちどれかを行うことが出来る。パスも出来る。

a) 工場閉鎖

これはアクションフェイズの工場閉鎖と同じ。ただし役員決議スペースの閉鎖タイルは1枚しかないので、1人しかこのアクションは行えない。

b) 広告をうつ

研究開発キューブを、示された数支払うことで、広告ディスク(白)を売りたい車種に置ける。これがどういう効果を発揮するかは後述。

最初にこのアクションを選ぶプレイヤーは、キューブが2個必要。

c) 値引きを行う。

値引きディスク(灰)を獲得して、値引きしてでも売りたい車種のところに置くことが出来る。ディスク1個と、2個一組がありどちらを取るかは任意。ただし2個一組のほうを獲得したら、分散させておくことは出来ない。

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7:需要タイルの公開・車の販売



ここでようやく、最初に引いた需要タイルを公開する。各プレイヤーは密かに持っていたタイルを公開し、ボード上部に置く。第一ターンだったら中級車の需要しか無い。

第三ターンは、ここで一枚のタイルを引く。これは高級車の需要となる。

第四ターンは、2枚のタイルを追加で引く。それぞれ高級車の需要、大衆車の追加需要となる。



需要が判明したら、最新型から順に一台ずつ車を売っていく。車種を間違えないように。

もちろん各車種の需要分だけ売るのだが、

※広告ディスクを置いてある車種は、順番が回ってくる毎に+1台売れる。

※値引きディスクを置いてある車種は、順番が回ってくるたびに+1台売れる。ただしボードに書いてある安い方の金額で売らなくてはならない。

ちょっと文にすると分かりづらいが、まあやってみると分かる。

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8:負債の獲得、利子の支払い

各プレイヤーは売れ残った車一台につき1つの負債キューブ(黒いやつ)を受け取る。



また、高級車・中級車・大衆車毎に、最新型より古い工場を持っていたら、一つ型が古い毎に負債キューブ一つを受け取る。同車種の工場を何件建てていても【一つ型が古い毎に一個】

閉鎖してある工場自体は負債キューブを受け取らないが、最新型よりさかのぼって負債数を数えるときに「1つ」として数える。

負債キューブを受け取った後、クライスラーやスローンの特殊能力で負債を返上することが出来る。



キューブの数が確定したら、負債分に見合った額を銀行に支払う。金額は負債キューブの数×ターン数 だ。

負債を支払ったからといって、負債キューブがなくなるわけではない。このキューブは人物の特殊能力か、工場閉鎖のタイミングでのみ減らせる。

あと、借金している人は借金回数×50ドルの利子を支払う。 トイチか!

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ゲーム終了時、上記のターン終了処理後、持っている全ての工場を買った価格で売ることが出来る。そして借金を返済し、(借金一回につき600$。利子は払ってるのに!!)



一番持ち金の多い人が勝利! 5人プレイの場合、4000ドルを超えたら上位、5000ドル超えてたらほぼ一位だと思う。

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秘匿情報の需要タイルをうまく利用し、移り気な消費者の動向を読む感じや
開発した車があっという間に旧モデルとなる様が妙にリアルな、楽しい経済ゲームです。

メルクリウスや大勝負といった純然たる株ゲーに比べると、テーマ性が強いぶん自動車好き(クラシックカー好き)なら間違いなく楽しめます。

シンプルなルールとはいえないですが、カード効果などによる例外処理は一切無いため1ターンやればルールは覚えられます。アクションフェイズと役員決議フェイズ以外はほぼ自動進行だし。ちょっとビデオゲームっぽくもあります。

自動車一台あたりの粗利は$20~$100程度なので、お金を稼ぐには何十台も自動車を作って売る必要があります。ガバっと作って大量に売る。特に大衆車はたくさん作らないと利益があまり上がりません。(自動車チットが大量で、ここはちょっとプレイアビリティが悪い)



このゲームの醍醐味を存分に味わえるのが最大人数の5人プレイです。時間は3時間ぐらいかかってしまいますが、5人でないとボード上の最新車種まで行く前にゲームが終わってしまいます。また、単純に人数が多いと市場の奪い合いが激しいので面白いww プレイ人数が増えることによる需要の拡大より、供給のほうが大きいゲームのため、5人プレイだと大量の不良在庫を抱えるプレイヤーも出てくるでしょう。

もしこのゲームが欲しい!やってみたい!と思う方がいましたら、ぜひ5人でのプレイを。

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